織元インタビュー・本場大島紬作品のご紹介
このたびの新型ウィルス感染防止により中止となりました催事「本場奄美大島紬展2020・結(Yui)~繋いで行く この技を未来に~」へ出展を予定していました奄美大島の大島紬織元さんへ、今回の展示会への思いや出展予定だった作品についてお話を伺ってまいりました。
牧絹織物 (奄美大島) 牧 雅彦 社長
【事業内容】本場奄美大島紬製造卸
【プロフィール】奄美生まれ
牧絹織物の2代目として、大島紬の製造や真綿大島(経糸に大島紬の糸を使い、緯糸に真綿糸を使用した大島紬で特許を取得)や、泥染をかけた正藍大島紬の開発・製造に携わり、コンテストでは数々の賞を受賞。
西郷隆盛の妻・愛加那の遠縁にあたる。
interview
Q, 本場奄美大島紬展2020「結」へは、どのような作品や思いで出展予定だったのでしょうか
今回の展示会では、うちでしか作れない「真綿大島」や夏大島を出展予定でした。
楽しみにしてくださっていた方も多いだけに大変残念でした。
Q, 牧絹織物さんならではの「強み・こだわり」を教えてください
「真綿大島※」は特許をとり製造しています。
明治末期までは大島紬も真綿(紬糸)で作られていましたが、締機が開発されてから真綿糸の大島紬がなくなったのですが、21年前に私が復活させました。
今は、うちでしか作れない元祖大島紬です。
また、琉球藍で染めた泥藍大島や奄美大島の草木で染めた糸を使用した草木染めの大島紬など、素材にもさまざまな挑戦をしています。
夏大島にも力を注いでいます。
伸縮性があり、シワにもなりづらく、約半年間にわたり楽しむことができる夏大島もおすすめです。
「大島紬」といっても、様々な素材や製造方法によりたくさんの種類があるので、それぞれの大島紬の魅力を楽しんでいただけるよう企業努力を続けております。
(※)真綿大島の「真綿」は、絹糸100%です。(綿ではありません)
(インタビューメイキング動画)
Q, 今回の展示会に出展する予定だった大島紬をぜひ拝見させてください。
牧雅彦氏セレクト!
牧絹織物「本場大島紬」作品のご紹介
●古典手鏡(七マルキ・カタス)
琉球藍で22回染めたのち、奄美の泥染めを2回行った草木泥染めの大島紬。
(琉球藍は奄美大島が北限なので貴重)
素材:正絹100%
●蜘蛛の巣(7マルキ)
生藍の蜘蛛の巣柄。大胆ながらも絣の織り成す繊細さが気品を引き立ててくれました。真綿大島もございます。
素材:正絹100%
●桜吹雪 (13算9マルキ・真綿大島)
1年を通して着用できる桜吹雪柄。紬糸を使用し伝統を復活させた真綿大島(まわたおおしま)。
商標登録もしており、弊社でのみ製造できる貴重な伝統的大島紬でございます。
素材:正絹100%
●子猫の散歩 (13算9マルキ・真綿大島)
紬糸を使用し伝統を復活させた真綿大島(まわたおおしま)。
商標登録もしており、弊社でのみ製造できる貴重な伝統的大島紬でございます。
猫をモチーフとした柄は、たくさんのファンに愛されています。
お写真の茶紫のほかに深緑もございます。
素材:正絹100%
●一玉龍郷柄 (7マルキ・夏大島)
1色の龍郷柄です。夏大島は春~秋まで半年間くらい楽しむことができます。
湯引き処理済みのため、購入後すぐにお仕立てをし着用が可能です。
素材:正絹100%
●縦縞(一元式・7マルキ・夏大島)
縞の幅がだんだん細くなっている変わり縦縞です。白地に黒縞もございます。
素材:正絹100%
●一玉半龍郷柄 (夏大島・横双)
貴重な夏大島に大人気の龍郷柄です。(湯通し済)
素材:正絹100%
●ローズガーデン2(7マルキ・カタス)
大島紬グランプリで賞もとった白大島に、地摺りという技法をつかって大小のバラを淡い色のグラデーションで散りばめました。
このような白大島を織ることができる職人も減ってきているため、大変貴重な作品です。
白地にパステルカラーのグラデーションは、多くの白大島ファンに愛されています。(湯通し済)
素材:正絹100%
●雪輪に龍郷(7マルキ・カタス)
草木染を取り入れ、白大島よりも少し生成り寄りの優しい雰囲気です。雪輪の中には龍郷柄が描かれています。(湯通し済)
正絹100%
●真綿大島(訪問着)
真綿大島で、さらに絵羽模様の大島紬(訪問着)
柄には「龍郷柄・秋名バラ・西郷柄」と代表的な柄をすべて施した大変貴重な作品となります。
深緑のほかに、茶紫もございます。ぜひ大島紬愛好者にお召しいただきたい作品です。
素材:正絹100%
牧さん、ありがとうございました。
<インタビューを終えて>
少し照れながらもインタビューに応じてくださった牧社長。
「牧絹織物さんならではの大島紬とは。」と伺うと、たくさんの素晴らしい作品とともに、牧社長の大島紬への思いや、職人さんたちの尽力について、熱く丁寧に教えてくださいました。
大島紬を愛し、その強い思いで作られる牧絹織物の作品は、本場大島紬の印象を一新するものばかりで感動の連続でした。
すべてが手作業の本場奄美大島紬だからこそ、言葉では表せない大島ならではの風合いが着ている人たちの心を躍らせてくれるものになるのだと感心いたしました。
「あー!時間が足りなさ過ぎるっ!!」…そんな思いで贅沢なインタビュー時間を終えました。(笑)
また機会をみて、牧社長のお話を伺いたいと思います。
インタビュアー:秋葉 深起子